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倒木事故の実例と損害賠償リスク

  • 執筆者の写真: 貞丸電設
    貞丸電設
  • 2月27日
  • 読了時間: 4分

はじめに

倒木事故は、強風や老朽化した樹木が原因で発生し、重大な被害をもたらすことがあります。

特に、住宅地や道路沿いの木が倒れると、人身事故物的損害につながる可能性が高く、所有者には大きな責任が生じます。

本記事では、実際に発生した倒木事故の具体例を紹介しながら、損害賠償のリスクについて詳しく解説します。



倒木事故の実例

1. 熊本県の県道で発生した倒木事故(約5000万円の賠償)


2017年3月、熊本県の県道を走行中の乗用車に、道路脇の樹木が倒れて直撃する事故が発生しました。運転手は即死し、同乗者も重傷を負いました。


事故の原因:

  • 倒れた木は老朽化しており、幹の内部が腐食していた。

  • 事故発生前に大雨が降り、地盤が緩んでいた。

  • 樹木の所有者は私有地の管理者であり、適切な剪定や伐採が行われていなかった


裁判の結果:

  • 遺族が樹木の所有者と道路管理者(自治体)を相手取り損害賠償を請求

  • 裁判所は、所有者の管理責任を認め、約5000万円の損害賠償を命じた

  • 道路管理者の責任も問われ、一部賠償を負担する形となった。

このケースでは、所有者が樹木の老朽化状態を確認せず、適切な対策を講じなかったことが事故の主因となりました。




2. 富山県での高級車損壊事故(数百万円の損害)

2020年、富山県南砺市の国道を走行中のトヨタ2000GT(希少な高級車)に、道路脇の老朽化した樹木が突然倒れ、車両が大破する事故が発生しました。


事故の原因:

  • 倒木は無風の晴天時に発生

  • 幹が内部から腐食しており、突発的に倒れた。

  • 道路沿いの管理者は倒木の危険性を認識していなかった。


裁判の結果:

  • 車両の所有者が道路管理者である県を相手取り損害賠償を請求

  • 和解が成立し、県側が修理費用を負担することとなった。

この事例では、管理者側が適切な点検を行わなかったことが責任の根拠とされました。


3. 宇都宮市の倒木による自動車事故(約211万円の賠償)

2021年6月、宇都宮市の県道で、道路脇の樹木が倒れ、走行中の車の天井部分を直撃する事故が発生しました。幸いにも運転者は軽傷で済みましたが、車両は大きく損傷しました。


事故の原因:

  • 木の根元が腐食していたが、外見からは判断できなかった。

  • 倒木直前に強い雨が降り、地盤が緩んでいた。

  • 道路管理者が定期的な点検を実施していなかった。


裁判の結果:

  • 被害者が県を提訴し、損害賠償を請求

  • 裁判所は道路管理者に過失があると認定し、約211万円の賠償を命じた。

この事例では、道路沿いの木の安全管理が不十分だったことが責任の理由とされました。




損害賠償リスクと所有者の責任

1. 民法717条「土地工作物責任」

民法第717条では、土地の工作物(樹木を含む)の管理に瑕疵があり、それが原因で事故が発生した場合、所有者または占有者に責任があると定められています。つまり、木が倒れて第三者に被害を与えた場合、所有者が損害賠償を負う可能性があります。


2. 賠償金の相場

損害賠償額は、事故の規模や被害状況によって異なりますが、

  • 死亡事故: 数千万円以上

  • 車両損壊: 数百万円程度

  • 物損事故(家屋や電線への被害): 数十万円〜数百万円 が一般的な相場です。


3. 損害賠償を回避するために

倒木事故を防ぐためには、以下の点に注意が必要です。


  • 定期的な樹木の点検(根元の腐食、傾き、幹の異常など)

  • 強風や台風の前後での安全確認(特に島は強風及び台風の日数が多い)

  • 枝が電線や道路にはみ出している場合は早めに伐採

  • 倒木のリスクが高い樹木は専門業者に相談して対策を実施


まとめ

倒木事故は予期せぬタイミングで発生し、大きな被害をもたらす可能性があります。実際に起きた事例では、数百万円から数千万円の損害賠償が発生しており、所有者や管理者の責任は重大です。


事故を未然に防ぐためにも、日頃からの適切な樹木管理と、必要に応じた伐採や剪定を行うことが重要です。特に、台風の多い地域や高齢の樹木が多い場所では、早めの対策を検討することで、思わぬトラブルを防ぐことができます。

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